小諸市は北に浅間山を背負う自然豊かな土地で、小諸城址や北国街道を有し、多くの文豪や画家ゆかりの地として歴史と文化が息づく街です。今回はそんな小諸市に魅せられて移住、起業された3店をご紹介します。
「サイフォンを日本の文化に。」研ぎ澄まされたプロの技、五感をフルに使って頂く、至福のコーヒー。「彩本堂」で特別なひと時を。
「彩本堂」は、2021年6月にオープンしたばかりで、盆栽と苔を愛でながらサイフォンで抽出したコーヒーを頂けるお店。旧北国街道・小諸宿の一角、荒町与良町の交差点の西側にあり、古い蔵を改装し、梁やなまこ壁など日本伝統の建築方式が残る粋な佇まいのお店です。
この彩本堂を立ち上げたのは、軽井沢創業の名店「丸山珈琲」で勤務されていた3名のサイフォニスト。(サイフォンでコーヒーを淹れるプロフェッショナル!)代表の梅谷さん、高橋さん、そして日本のサイフォニストの第一人者であり、サイフォニスト日本大会で優勝、世界大会第2位という輝かしい実績を持つ支配人の中山さんです。
3人は、日本で大正・昭和の喫茶店ブームとともに愛されたサイフォンの魅力を多くの人に知ってもらい、再び「日本の文化」として日常的に親しんでもらいたいという志しからお店を開きました。ここ小諸の宿場町で開店された理由について、「自然が身近で、かつ歴史や文化を肌で感じられるようなこの宿場町の風景が、我々の目標とするお店のコンセプトと一致したので、この地で開店することに決めました。」と語ってくださいました。
彩本堂のメニューは、サイフォンコーヒー、野生のハーブティー・サイフォン野香茶など。 サイフォンでしっかり温度調整をしながら淹れたコーヒーやお茶は、香り高くスッキリと飲め、その香りの余韻を長く楽しめるという特徴があります。
また、盆栽ティラミス、苔玉ケーキなど、和をモチーフにしたスイーツもおすすめです。※一日数量限定でのご提供です。
彩本堂では、なんといってもカウンター席で過ごすのがおすすめ。一人ひとりの目の前に1台ずつ据えられた硝子のコーヒーサイフォンの存在感、ハロゲンランプと沸騰したフラスコの中のお湯との光のコントラスト、落ち着いた雰囲気の店内でひと際目立つその華やかな光景に見惚れてしまいます。
また、抽出から目の前にコーヒーが提供されるまでのサイフォニストの所作が美しく、茶道にも通じるような洗練された匠の技を感じ取ることができます。
カンター席のお客さまには、サイフォニストがコーヒーとお客さまのイメージに合わせて、手のひらサイズの盆栽(石木花の作品)をチョイスしてくれます。更にそこへ和をモチーフにしたスイーツが合わさると、趣深い美しさに心奪われること受け合いです。
香りを感じながら蕎麦猪口で丁寧にいただくコーヒーは、日々の忙しさを忘れさせてくれるようで、緩やかな空気を感じながらの一杯は至福の時間になることでしょう。
コーヒーの香り味わいとともに盆栽を愛でる。サイフォンの奏でる音に耳を傾けながら、空気を肌で感じる。そんな五感をフルに使う特別なひと時を過ごしに、ぜひ「彩本堂」を訪ねてみてくださいね。
小諸でベーグルならここ!「ヒトキトベーカリー」にしかない味と食感を楽しもう。
「ヒトキトベーカリー」は、浅間サンライン「新家」の交差点を糠地方面に1kmほど進んだ住宅街にある、古民家の1階を改装したパン屋さん。お店の前に近隣の施設の看板が立っているのが目印です。営業日は水曜日と土曜日の週2回のみ、朝11時のオープンをめがけて続々とお客さまが訪れる人気店です。
パンの材料は国産小麦を使用、パンの種類によって使い分ける自家製天然酵母やオーガニックの野菜や果物、ミネラル豊富な粗精糖、牧草のみで育った牛のミルクで作られたグラスフェッドバター、牛乳の代わりに豆乳を使用するなど、身体に優しい素材にこだわっています。また、小麦や野菜は一部自家製のものもあるそうです。
「当店のパンを食べて笑顔になっていただきたい。またここで使われている材料から“食”について興味を持っていただけたら。」と、パン作りにかける思いを話してくれたのは店主の竹内さん。
竹内さんは新潟県のご出身。以前は神奈川県在住、ご夫婦ともにIT系の仕事をしていましたが、東日本大震災や出産がきっかけで、子育てをしていく上で安心な食べ物を自分たちで作りたいという思いから移住を決意。小諸市を選んだのは、ご主人の友人の紹介でした。日照時間が長く、小麦をはじめ農業に適した環境と景色の良さが気に入り、この地を選んだのだそうです。移住後ご主人は農家に転身、竹内さんは以前からパン作りのレシピサイトを運営されていた経験を活かし、本格的にパン屋さんを開店しました。
一番人気の商品はベーグルで、プレーン(180円税込)がおすすめ!酒種酵母で作ってあり、もちもちの食感で噛むほどに味が広がります。
ベーグルの種類が驚くほど多く、「レモンとクリームチーズ(240円税込)」、「フォカッチャチーズ(230円税込)」などもおすすめです。
全粒粉とくるみの生地の「はちみつくるみゴルゴンゾーラ(440円税込)」も人気の一品。赤ワインにも合う大人の味です。
カンパーニュ(ホール540円/ハーフ270円)は水分が多くジューシーで、スープと一緒に、またオリーブオイルと塩だけで食べるのもおすすめです。
ヒトキトベーカリーのパンは、生地の食感の良さとともに、中身もチーズとはちみつ、キャラメルとクリームチーズなど、意外な味のマリアージュが楽しめるのが特徴です。
季節ごとにラインナップはよく変わるとのことで、パンの他にマフィンやビスケットなどの焼き菓子も人気です。
オープン日以外では、月曜日には小諸駅横の「停車場ガーデン」で購入でき、他にもイベントなどでの出張販売もしています。出会えたら嬉しくなってしまうこと間違いなしの「ヒトキトベーカリー」のパン、ぜひ情報をチェックしてみてくださいね。
小諸から世界へ!注目の職人が営む「麦香炉」で、各国のパンを味わおう。
今度は御代田町との境目、佐久北インター近く、国道141号線沿いにあるパン屋さん「麦香炉」をご紹介します。交通のアクセスが良く、県内外からのお客さまが訪れる人気のお店です。大きな国道の延長線上には浅間山の壮大な姿。このエリアを象徴する絶景です。
店主の水上さんは千葉県のご出身で、長和町ご出身の奥様とともに小諸市に移住、2016年に「麦香炉」をオープンさせました。
実はつい最近、2021年10月にローマで行われた「2021年FIPGC協会主催世界大会」に水上さん作のイタリアの伝統菓子「パネットーネ」を出品、見事ゴールドメダルを獲得されたとのこと!小諸から世界へ羽ばたく、注目の職人さんです。
水上さんはこれまでに海外の方からパン作りを学ぶ機会が多く、ロシア人からはピロシキを、ドイツ人からは本格的なプレッツェルやライ麦パンを習い、その経験がお店の強みとして活かされているそうです。
5種類の自家製酵母、国産の小麦に加え、パンの特徴に合ったグレードの高い海外産小麦を使用、24種類ほどの生地で40~50種類のパンを作っています。
水上さんは「生地を美味しく」ということを大切にされており「外国のパンでも発酵には味噌を使用するなど、日本人に合った食感や味を目指しています。」と話してくださいました。
麦香炉の一番人気は「くるみパン130円税込」、次に「チョコパン108円税込」「じゃがいものピロシキ162円税込」と続きます。定番の食パンだけでも種類が豊富で、全粒粉やライ麦の食パン、乳・卵不使用のイギリス食パンも。
サンドイッチも贅沢に具材が入っており、種類も充実、ランチにもおすすめです。
また、子どもの1歳の誕生日を祝う一升餅ならぬ一升パン、ウェディングケーキならぬウェディングバーガーという記念日やイベントのための特別なパンなど、お客さまの要望を取り入れながら常に楽しんで商品の創意工夫をされているそうです。
水上さんは、実はご飯党!ご自身はパンよりも断然ご飯と味噌汁派だそう。将来は日本人にとってご飯を超えるような、どんな時でも身近な存在のパンを作りたい、という素敵な夢を持っています。今後いったいどんなパンを作ってくれるのか、とても楽しみですね。そんな魅力がいっぱいの「麦香炉」ぜひ立ち寄ってみてください。
小諸市のグルメ、いかがでしたか?歴史文化の街を自転車や徒歩で散策しながら、お気に入りのお店を見付けてみるもおすすめです。ぜひ訪ねてみてください。