fbpx
MENU

スポットマップ

海野宿に佇む、縁結びのお地蔵さま「媒(なかだち)地蔵尊」を拝む

しなの鉄道線「田中駅」から1.6kmほどの距離にある海野宿は、現在も歴史的な景観が保たれている旧北国街道の宿場通りです。街道には用水が流れており、江戸時代や明治時代の伝統的な建物が並ぶ美しい町並みは「日本の道百選」に選ばれ、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。まるで往時にタイムスリップしたかのような風情のある通りでは、歴史散策の他にも東御市の特産品のお土産を買ったり、カフェやお食事処で休憩ができたりと、一日ゆっくりと楽しむことができるスポットです。今回は、海野宿の入り口、海野宿ふれあいセンターの敷地内に祀られている縁結び地蔵として有名な「媒(なかだち)地蔵尊」をご紹介します。

海野宿と田中宿の歴史

旧北国街道「海野宿」は、かつて江戸へ向かう参勤交代の大名行列や、善光寺詣の旅人たちで大変賑わった宿場町でした。北国街道が整備された当初は、現在の田中駅前商店街である「田中宿」と海野宿は二つで一つの宿場町として機能する合宿(あいしゅく)でしたが、1742年(寛保2年)の千曲川流域で起きた大洪水「戌の満水」によって田中宿が被災。宿場町として、ほぼ壊滅的な状況に追い込まれた田中宿は、比較的被害の少なかった海野宿に宿場町の機能をすべて譲り、大災害をきっかけに海野宿を本宿として定めました。

海野宿_通り

「縁結びの媒地蔵」の言い伝え

現在祀られている媒地蔵尊は、平成9年に再興された2代目。初代のお地蔵さまが“縁を結ぶ”という意味の「媒(なかだち)」と名付けられたことから、今でも良縁を結ぶお地蔵さまとして祀られています。1812年(文化9年)に建てられ、今も海野宿に残る常夜燈に「媒地蔵」の文字があることから、江戸時代後期には縁結びのお地蔵さまとして人々に親しまれていたことがうかがえます。 

さらに、この地に伝わる江戸時代の有名な民話の中に「縁結びの媒地蔵」というお話があります。娘に良縁がなく悩んでいた加賀百万石・前田家のお殿様。そこで海野宿の媒地蔵を紹介され、お殿様が参詣した所、良縁に恵まれたそうです。喜んだお殿様は御礼参りに再び訪れ、御本尊の媒地蔵を守るためのお堂を造ったということです。その後、良き縁をとり結ぶこの媒地蔵の名が各所に知れ渡り、「縁結び地蔵」を一目拝もうとする参詣客が絶えなかったといいます。

媒(なかだち)地蔵尊看板

媒地蔵尊の歴史

初代の媒地蔵は、平安時代初期に活躍した有名な僧侶、慈覚大師円仁(じかくたいしえんにん)が作った地蔵菩薩といわれており、大変古い歴史と由緒あるお地蔵さまだったと伝えられています。後世になって、海野氏の家臣がこの貴重な地蔵菩薩を小さな庵に安置したことから始まり、1691年(元禄4年)に今の場所に青龍山地蔵寺が建立され移転、御本尊として祀られたということです。青龍山地蔵寺は、昭和26年失火によって本堂、ご本尊、仏具など全てが焼失してしまいました。そして平成9年、地域の人たちの手によって再興されたのです。

現在の媒地蔵尊

現在の媒地蔵尊のお姿は、右手は願いを成就させるという意味を持つハンドサイン「与願印」、左手には望みを叶えるという宝子を持っておられます。

媒(なかだち)地蔵尊

今回取材させていただいた「NPO法人海野宿トラスト」の宮下さんが、「昭和26年の火災以前、地蔵菩薩は厨子(ずし/ご本尊やご位牌を安置する仏具)に入っていて、地域でもそのお姿を実際に見た人がほとんどいませんでした。平成9年の再興は正確なお姿の再現ではないかもしれませんが、地域の人たちで造り上げ、愛されている姿は、時の経過とともに歴史の一部になっていくのではないかと思っています。」と素敵なお話をしてくださいました。毎年11月3日には「媒地蔵縁日」が開催されるとのことで、このお地蔵さまを地域の宝として大切にしている様子が伝わってきます。

海野宿を訪ねた際には、それぞれの良きご縁を願いに「媒地蔵尊」をお参りしてみてくださいね

レンタサイクルを利用して海野宿を巡ろう!

東御市は、浅間連山の南向き斜面の地形と豊かな自然が特徴の一つとしてあげられ、ぶどうやくるみを代表とする美味しく質の高い農産物が採れることで知られています。絶景ポイントも沢山あり、景色を楽しみながら食を巡る、そんな東御市を満喫する旅は、レンタサイクルで周るのがおすすめです。

レンタサイクルと海野宿

レンタサイクルは、しなの鉄道線の田中駅を降りた駅舎内にある東御市観光情報ステーションにて貸出をしています。特に電動アシスト付自転車(Eバイク)は、坂の高低差も気にせず長距離の走行が可能なので、ワイナリー巡りや八重原台地などアップダウンのあるエリアでの観光や、途中の「浅間山麓サイクリングツアーマップ」のコースに合流してお隣の小諸市まで行くコースも楽しめます。特に、信州とうみ観光協会スタッフおすすめの5つの「おすすめライドプラン」には、東御市の魅力を存分に味わうことができるコースが掲載されているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

今回紹介した場所

New Topics