小諸市菱野温泉は開泉800年以上の歴史があり、古くから療養温泉として親しまれてきました。現在は「薬師館」と「常盤館」の2軒の温泉宿がありますが、今回は展望露天風呂「雲の助」で人気の常盤館をご紹介します。こちらの宿は、小諸市観光案内所で借りることができる電動アシスト付き自転車の充電スポット(予備バッテリーへ交換可)にもなっていますので、もしもの時の立寄り箇所としても便利です。
「菱野温泉 常盤館」は、浅間サンライン「菱野」の交差点で交わる県道130号線・菱野筒井線を2.5kmほど上った所にあります。戦国時代には「雲之助城」という名の山城があったというこの地に、明治20年に創業された老舗の温泉旅館です。近代では島崎藤村が記した「千曲川のスケッチ」に登場したり、野口雨情などの文人や画家が愛した場所として有名です。
絶景・大自然・歴史の中に身を置く展望露天風呂「雲の助」
常盤館がある菱野温泉郷は建久2年(1191年)に源泉が発見され、病や戦傷を負った人々が療養に訪れる霊泉として、知る人ぞ知るといった秘湯でした。戦国時代になり、2代目小諸藩主・仙石忠政の娘が病に襲われた際に、ここのお湯で治癒したことをきっかけに、湯治場としての歴史が始まったといわれています。
美肌効果の高い単純アルカリ温泉であり、冷え性や神経痛、疲労回復など様々な効能がある常盤館の温泉。一番の魅力はなんといっても展望露天風呂「雲の助」です。登山電車に乗って行く標高1050mからの眺望はまさに絶景。南に蓼科山と八ヶ岳連峰、東に富士山が望め、夜には佐久平の夜景が目の前に広がります。
この絶景を前にお湯に浸かりながら、大自然がもたらす春夏の緑、秋の紅葉、冬の雪景色と四季の移ろいを楽しみ、時には野鳥や動物と遭遇したりこの地の歴史に思いを馳せたりしていると、日常とは違う時間の流れの中で心も身体も整っていくのがわかります。
雲の助には屋外に見晴らしの良い露天風呂と屋内の大石風呂があり、喫茶コーナーや売店、雲の助テラスなど、館内施設も充実しています。
雲の助に向かうのに利用する登山電車は山の中をグングンと登っていき、途中で上から降りてくる電車とすれ違ったり、周りの景色を楽しんだりしながら山頂の展望露天風呂「雲の助」を目指します。
子連れのご家族には子ども用の車掌服の貸出しサービスもあり、車掌さん気分を味わえると子供たちにとても人気で、大人も子供も楽しめること間違いなし!
「雲の助」の他、本館1階ロビーの横の館内大浴場では、深夜でも早朝でも好きな時間に入浴が楽しめます。どちらの温泉も日帰りの外来入浴もでき、タオル(バスタオルは200円)や女性に嬉しいアメニティも充実、気軽に立ち寄れるのも魅力です。
6つのタイプのくつろげるお部屋
本館には和室、和洋室、洋室があります。大きな窓から周辺の自然を満喫でき、清潔で落ち着いた室内でゆったりと過ごせます。
別館の“彩雲亭”は大人数用の部屋が用意されており、中でもメゾネットタイプの2つのお部屋にはそれぞれ檜、陶器の半露天風呂とマッサージチェアが付いており、究極の癒しの時間を過ごすことができます。
多世代のご家族や親戚、友人グループなど、様々なシーンで利用できそうですね。
郷土料理を味わえる2軒のお食事処、竈ダイニング「もみ」と「きのこの森 ふわり家」
メインダイニングの竈ダイニング「もみ」では、常盤館の名物“佐久鯉の旨煮”をはじめ、地元の食材を使った四季折々のお料理を提供しています。また、ダイニングにある大きな竈で炊いたご飯はふっくらとしていて格別の美味しさです。
もともと高峰高原の入り口にあったお食事処「きのこの森 ふわり家」は、2020年に常盤館内に移転し、地場の旬の素材を使った野菜やきのこなどの山菜料理が人気です。ランチ営業では予約なしでも入店でき、「和風きのこパスタ」や「くるみ蕎麦」などのお料理も楽しめます。雲の助や館内大浴場での日帰り入浴とのセットでの利用もおすすめです。
小諸のことならこの方に!気さくでアクティブな花岡会長
今回取材に答えてくださった常盤館会長で、こもろ観光局理事長の花岡さんは、なんとポロシャツにサイクルパンツで颯爽と登場!花岡さんは長年趣味としてロードバイクに乗っていて、今回のEバイクのコースの完成を楽しみにしておられました。取材後もコースを走りに行くとのことで、ワクワク感が伝わってきました。
「小諸市は街中の歴史文化観光と自然観光の両方を楽しめる所です。歴史文化観光は室町から昭和まで、各時代の建物やゆかりの地を訪ねてみるのがおすすめ。自然観光では登山や浅間山麓地帯特有の野鳥や昆虫観察、E バイクに乗って周辺のスポットを散策するのもいいですよ。」と小諸の楽しみ方を教えてくれました。常盤館を拠点に、小諸の魅力を訪ねて周るのもいいですね。
歴史ある温泉で心も身体も整えるとともに、小諸の旅を満喫できる常盤館、ぜひ訪ねてみてください。