浅間連峰の西側に広がり、長野県東御市と群馬県吾妻郡嬬恋村にまたがる湯の丸高原。浅間山麓6市町村で作成したEバイクコース「浅間山麓サイクリングツアー」の中でも最高地点にあたる、標高1700メートルに位置します。上信越高原国立公園に属し、湯の丸スキー場やキャンプ場などレジャー施設があるほか、湯ノ丸山、烏帽子岳、篭ノ登山(東西)への登山や池の平湿原でのトレッキングなどが楽しめ、年間を通じて大勢の観光客が訪れる場所です。
今回は、湯の丸高原の自然のことをもっと詳しく知りたい!という方におすすめの、湯の丸高原の東御市側入口にある「湯の丸高原ビジターセンター」をご紹介します。サイクリング途中の休憩にもおすすめですよ!
湯の丸高原ビジターセンターとは?!
湯の丸高原ビジターセンターは、湯の丸高原周辺の地形や地質、動植物など、湯の丸高原の自然や環境についてわかりやすく解説・展示されている施設です。ネイチャーマイスター(自然解説員)が常駐しているので、周辺の観光情報は勿論のこと、登山のマナーや知識を学ぶことができます。あわせて、見頃の高山植物や、カモシカやツキノワグマなどの野生動物、そのほかにも野鳥や昆虫など、山の生態系について学ぶことができます。館内のジオラマやスライドショー、写真などの掲示物も勉強になり、実際に手で触れて木の種類や質感の違いを体験できるコーナーもあります。
ジオラマで学ぶ山の成り立ち
湯の丸高原の自然保護に携わって35年以上という、ビジターセンターのネイチャーマイスターである小林政明さんにお話を伺ってきました。
「このジオラマを使って湯の丸高原の場所や浅間山の噴火、付近の山々の成り立ちについて皆さまにご説明いたします。山のどこに何が咲いているかなど、私たちスタッフの話を聞いてから登る山を決める方もいますよ。山に入るときの持ち物や準備、気象(雲の形 雷のよけ方)についても一通りご説明いたしますので、ここで勉強をして、安全に湯の丸高原を楽しんでもらえればと思います」と、ネイチャーマイスターの小林さん。山の地形や楽しみ方、そして安全に山登りするためのマナーや知識が学べるのはありがたいですね。
ジオラマを見て説明をお聞きする中で、日本に降る雨や雪の流れる別れ道『分水嶺』についても教えていただきました。山の稜線に沿ってある分水嶺を境に、長野県側の雨や雪は千曲川→信濃川の水流となり日本海へ流れ、群馬県側は吾妻川へ流れ→渋川→利根川と合流して太平洋へ流れていくのだそうです。同じ場所に降る雨なのに、行きつく場所が違うなんて、水の長旅を想像すると面白いですね。湯の丸高原にあるロッジ花紋の屋根には中央分水嶺の表示があるので、実際に水の流れを見てみるのも楽しいかもしれません!
高山植物の宝庫 「花高原」湯の丸高原
湯の丸高原は、日本海側と太平洋側の植生が混在しているため、およそ1150種類もの高山植物が見られるのが特徴です。さらに亜高山帯にありながら、低山で見られるアヤメや「高山植物の女王」と呼ばれるコマクサまで幅広い種類の植物を見ることができます。4月〜9月にかけて、数百種類の花が咲き、特に6月中旬から下旬の時期には、国の天然記念物に指定されているレンゲツツジの群落も湯ノ丸山腹に一斉に咲き誇り美しく、このあたり一帯は別名「花高原」とも呼ばれています。咲いている場所や見頃のお花、植物の名前についてもネイチャーマイスターに教えてもらえるので、登山や散策に出かける前にビジターセンターに立ち寄って勉強をしていけば、さらに自然の中を歩く楽しみが広がること間違いなしです。
湯の丸高原ビジターセンターでは美味しいオリジナルコーヒーも飲めるので、休憩や訪れた方々の交流の場としても利用されています。また、松ぼっくりやどんぐりなど自然の素材を使ったクラフトや、自然体験入門講座、小学生向けに自由研究講座などのイベントも開催しています。イベントの情報は信州とうみ観光協会のホームページ、東御市広報に掲載されていますので興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。
さらに、事前に予約をすれば湯ノ丸山や烏帽子岳、池の平湿原など、周辺のトレッキングガイドも依頼することができます。湯の丸高原のスペシャリストであるネイチャーマイスターにガイドをしてもらいながらのトレッキングは、より安全に楽しく山の魅力を知ることができますよ。湯の丸高原の散策の際には、ご利用してみてはいかがでしょうか。